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高イオン伝導性結晶配向セラミックスの開発

粉末回折データからの未知構造解析

先端セラミックスの結晶・組織構造と機能の関係

その他の研究

 

HOT TOPICS

「高イオン伝導性結晶配向セラミックスの開発」

ケイ酸ランタンオキシアパタイトは、化学的安定性に優れ電子伝導性が無いなど、理想的な低温動作型SOFC電解質であるが、伝導経路がc軸方向に限定されるためランダム配向多結晶体では高い酸化物イオン伝導性が得られなかった。
我々は反応拡散を利用した独自の結晶配向技術を用いることで、イオン伝導度を飛躍的に向上させることに成功した。拡散対を空気中で加熱するだけの、極めて簡便な方法でありながら、高い配向度(ロットゲーリングファクター:0.9以上)を実現した。さらに、異種酸化物を添加したサンドイッチ型拡散対の積層順序と各層の厚みを適切に設定し、配向多結晶体の化学組成と結晶構造を最適化することで極めて高い酸化物イオン伝導度を実現した。開発した低温作動型の固体電解質は、配向したケイ酸ランタンオキシアパタイト結晶中にBaOとSi欠損を導入したもの(組成式La9.32Ba0.28Si5.87O26)で、500℃での酸化物イオン伝導度が3.4×10-2 S/cmであり、600℃では6.3×10-2 S/cmに達し、これらの値は現在実用化されたYSZ電解質の伝導度の約60倍から20倍に相当する。


拡散対を加熱するだけで中間層に高配向結晶粒子が生成。


   酸化物イオン伝導度の比較


文献
・K. Fukuda, R. Watanabe, M. Oyabu, R. Hasegawa, T. Asaka, and H. Yoshida, “Oxide-Ion Conductivity Enhancement of Polycrystalline Lanthanum Silicate Oxyapatite Induced by BaO Doping and Grain Alignment,” Cryst. Growth Des., 16, 4519–4525 (2016).
・福田 功一郎,“圧粉体からの高イオン伝導性結晶配向セラミックスの作製,”工業材料,64[12],65–69(2016).

 


「粉末回折データからの未知構造解析」

結晶性の新材料開発には、その結晶構造の決定が不可欠である。セラミックス科学分野が対象とする物質は、多くの場合粉末や多結晶の状態にあるので、これらの構造評価には粉末回折法が用いられる。
粉末回折データは各ブラッグ反射の回折線が重なっており、本来は三次元の結晶構造に関する情報が一次元に縮重している。我々は粉末回折データを用いて、新規LED用白色蛍光体の未知構造を解析した。回折線を個々に分解し、回折角と積分強度から初期構造モデルを決定した。さらに最大エントロピー法と全パターンフィッティング法を反復し、リートベルト法の欠点である構造バイアスを可能な限り取り除いた三次元電子密度分布の可視化をおこない、最も妥当な構造として不規則構造モデルを構築した。


初期モデル(左)と不規則構造モデル(右)の二次元電子密度分布


不規則構造モデルの三次元電子密度分布

 


「先端セラミックスの結晶・組織構造と機能の関係」

電子顕微鏡をはじめとした先端解析技術を用いて結晶構造・組織構造と物性の関わりを調べ、新規機能性物質の開発に役立てようとしている。
下図に示したのは磁気抵抗効果を示すダブルペロブスカイト型酸化物の磁区および結晶学的ドメイン構造を表す局所磁化マップと暗視野電子顕微鏡像である。
局所磁化マップでは磁化の大きさと方向を色で表現している。暗視野像中の黒い筋は結晶学的ドメイン境界である。また、小さい矢印はカラーマップと同様、局所磁化を表す。結晶学的ドメイン境界を挟んで局所磁化が反転する様子が観測されており、これはドメイン境界による磁壁のピンニング効果である。結晶学的ドメインを変化させることにより、磁区構造が制御できることを表している。

 
局所磁化マップ                 暗視野電子顕微鏡像

 

 

 

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