X線粉末回折パターンからの不規則構造の解析
Ba2SiO4-Ca2SiO4二成分系における化合物(Ba0.65Ca0.35)2SiO4の結晶構造には、
著しい不規則性があります。これをX線粉末回折法を用いて解析した手順を説明します。
【文献】
Crystal Structure and Structural Disorder of (Ba0.65Ca0.35)2SiO4",
Solid State Chem., 180, 2305-2309(2007).
1. 直接法(ソフトウェアEXPO2004*1)で初期構造を求めます。【2/14】
2. 先に得られた初期構造モデルを、リートベルト法(ソフトウェアRIETAN-FP*2)で精密化します。【3/14,4/14】
3. 最大エントロピー法(MEM、ソフトウェアPRIMA*2)で3次元電子密度分布を求めたところ、いくつかの原子位置が(例えば酸素原子位置は3回回転軸の周りに)splitしていることが分かりました。結晶構造と電子密度分布の可視化にはソフトウェアVESTA*2を用いました。【5/14】
4. そこで新たにsplit-atomモデルを構築し【7/14,8/14】、再びリートベルト法で結晶構造の精密化を行ないます。【9/14, 10/14】
5. MEM-based pattern fitting法で得られた3次元電子密度分布は、精密化されたsplit-atomモデルによってうまく説明できることが分かりました。【11-13/14】
6. (Ba0.65Ca0.35)2SiO4の結晶構造は、先のsplit-atomモデルで表現できることが確認できました。【14/14】
References
*1Altomare, A., Caliandro, R., Camalli, M., Cuocci, C., Giacovazzo, C., Moliterni, A. G. G. and Rizzi, R., J. Appl. Crystallogr., 37 (2004) 1025-1028.
*2F. Izumi and K. Momma, Solid State Phenom.,130 (2007) 15-20.
1/14
初期モデル
2/14
3/14
4/14
MPF法
5/14
Split-atomモデル
6/14
7/14
8/14
9/14
10/14
MPF法
11/14
12/14
13/14
14/14
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