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 セメントクリンカー間隙液相の結晶化機構

 

 

 

セメントクリンカー間隙液相の結晶化機構

セメントクリンカー中のアルミネート相とフェライト相は, クリンカー焼成反応の最終段階, すなわちエーライトとビーライトの間隙に存在する液相が冷却され, 結晶化する過程で生成する。 しかし,  アルミネート相とフェライト相の晶出反応は完全には解明されていなかった。

<解明すべき問題点>

1. アルミネート相とフェライト相は, どちらが先に晶出するのか?

2. いわゆる“フェライト相”の化学式(Ca4Al2Fe2O10またはCa2AlFeO5)は,
  クリンカー中のフェライト相の結晶学的な性質や水和反応性を正しく反映 するのか?

3. 間隙液相中のアルカリなどの少量成分は冷却過程でどのように結晶相へ分配されるのか?

 

今回, 合成クリンカーを高温下で長時間加熱し, 平衡状態に達した結晶相と液相の化学組成を電子線マイクロアナライザー(Electron Probe Micro-Analyzer:EPMA)で正確に決定した。
さらに間隙液相を高温から徐冷して結晶化過程をシミュレートした。

            

 

<成果>

1. フェライト相とビーライトの析出が「間隙液相の分化」を引き起こし,最終的にアルミネート相が晶出する。


平衡に共存する液相と結晶の化学組成。液相とビーライト,フェライト相の化学組成を実線で,液相とビーライト,アルミネート相の化学組成を破線で結ぶ。

2. フェライト相は晶出過程で化学累帯構造を形成し, 化学組成が中心部分から外縁部へ連続的に変化する。

フェライト相とビーライトの析出による液相の分化を示す模式図.最終段階でアルミネート相(▽)が晶出する。フェライト相は晶出過程で化学累帯構造を形成する。

 

3. アルミネート相(▽)はビーライトとフェライト相に固溶しなかったアルカリ成分や少量成分のReservoirとして働く。

 

 

 

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